『償いの十字架』レビュー 

※この記事には、免許更新センターで閲覧する交通安全ビデオ教材『償いの十字架』に関するネタバレが含まれています。

 

3/18、初めての免許更新にて、27分間の短編映画『償いの十字架』を鑑賞しましたので、そちらのレビューをさせていただきます。

 

作品は、自転車に乗る小学生の猛(たけし)が友人たちと下校する場面から始まる。「じゃあまたねー!」という元気な声で友人たちに別れを告げる。関西の人間ではないみたいですね。坂を下る勢いのまま十字路にさしかかる猛。そこに、細道からトラックが現れる。

キーッ

猛、ビデオ開始即トラックに轢かれてしまった。開始から10秒も経ってない気がする。
猛(たけし)という名前で、そのまま下り坂を猛進していったのだから、ついトラックを突き抜けてそのまま目的地に到達、ちょっとちょっとうちのトラック貫きましたよね?という展開かと思った。こんなにもすぐ轢かれるのであれば轢(ひかれ)という名前にすべき。


場面は病院へ。搬送された猛はどうやら無事だったみたいだが、念のため脳の精密検査を受けることに。母の優子(ゆうこ)と父の勇(いさむ)、そして同棲している勇の父(名前があったか曖昧なので、仮に餅嗣(もちつぐ)としておく。)が容態を心配する中、スーツ姿の男性が現れる。この男性は猛を轢いた張本人で、謝罪のために病院を訪れたのだった。しかし、勇は「すいませんじゃないだろ!」と殴り掛かる。名付け親の前で勇ましいの意味をはき違える勇。優子と餅嗣に止められるも、勇の怒りは収まりきらないようだった。

次の日、元気にリュックを背負った猛が調理場に現れた。この家族は自宅で手作りの和菓子屋さんを営んでいるようだ。猛は、先日テストで100点をとったご褒美で、今日勇にサッカーボールを買ってもらえるらしい。「じゃあ気を付けて。どんな運転するやつがいるかわからないから、なあ?」とみんなに笑いかける勇。「ねえ」とほほ笑む優子。「ガラ」と閉まる扉。

 

夕方、本日の配達を終えた勇は、優子からの電話でスポーツ用品店の営業が19時までであることを知る。「ギリギリだな。」勇は急いで車を出した。変わりかけの信号を必死のアクセルで突破する勇。ペダルを踏む靴はadidasの『スーパースター』のようだった。この後、彼は悲劇のスーパースターになる。渋滞を察して裏道を選択した勇は、なんと暗い十字路でサラリーマンを轢いてしまう。焦る心が生み出した事故。スポーツ用品店が20時まで営業していれば。様々な思いから勇は、なんと少しだけ直進してしまった。ひき逃げ完了。直後、我に返りギアをリバースにいれて現場に戻った勇は、野次馬をかきわけた先に見た被害者の姿に戦慄する。

 

事故の件で自宅に連絡が入る。動揺する優子と餅嗣。立ち尽くす猛。猛は白と黒のボーダーTを着ている。白黒チェックのサッカーボールを待つ猛、大黒柱という縦線を失ったことへの暗喩か?その日の夜、残念ながら勇に轢かれた男性は、そのまま天国まで吹っ飛ばされてしまった。


ひき逃げの情報はすぐに拡散され、店の評判も落ちてしまった。めでたい場にとんでもない、と紅白饅頭はキャンセル。人は縁起を担ぎたい生き物。担いだ縁起を置く肩が不足しています。

猛も仲間はずれに。サッカーボールを持って公園へいっても、みんなが自分から遠ざかる。思い切り蹴飛ばしたサッカーボールは、ライナー性ではなくループ性のボールだった。感情の描写がわからない。

数年後、交通刑務所での服役を終えた勇が、喪服姿で事故のあった場所へ百合の花を持って訪れる。百合の白と紫が、背景にある駐車場の看板の白と紫に一致していた。画面をコーディネートすな。そして勇は、喪服で現れたのかと思ったら、水玉のネクタイをしていた。無地の黒で来なさい。その水玉をなぞるように、勇の目からは涙がこぼれ落ちた。

 

皆さん、交通事故には気をつけましょう。今日は春の陽気がすさまじく、花粉がわっしょいのため評価は☆1とさせていただきます。